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17条決定無効

平成25年11月19日大分地方裁判所 判決

要旨・解説:
17条決定は、実質的には、裁判所による最終的な調停案の提示であり、これに対する異議申立てをしないという当事者の意思が合致した場合に裁判上の和解と同一の効力を生じる制度、すなわち、和解と同様に、当事者等の合意に基礎を置いた紛争解決のための制度であると判示し、錯誤(民法95条)の類推適用を認めて、CFJに対して、過払金の支払いを命じた判決。
業者名:
CFJ

平成25年5月29日 福岡高等裁判所 宮崎支部 判決

要旨・解説:
特定調停において、実際には157万円の過払金が発生していたにもかかわらず、13年間に及ぶ取引履歴のうち最後の5年分しか取引履歴を開示しなかったことから、1000円の解決金をCFJに支払う旨の17条決定を借主が受け入れた事案。判決は、借主が正確な認識を有していたならば、CFJに金員を支払うという内容の17条決定を受け入れたとは到底考え難い、当事者間ではCFJが提出した取引履歴の期間の取引により生じた債権債務に限定して利害関係を調整する意思を有していたことが認められ、17条決定の清算条項の及ぶ範囲も開示された取引履歴の債権債務に限定されるとし、CFJに過払金の支払いを命じた。CFJは、上告受理申立をした。
業者名:
CFJ

平成24年9月18日 福岡高等裁判所 判決

要旨・解説:
特定調停は、債務の確定及び減免、支払猶予等を中心とした手続であり、本件では、取引履歴の開示を受けておらず過払金の有無及びその額が争点となっていなかったことからして、清算条項は金銭消費貸借契約における債権債務について定めたものであって、過払金返還債権についてはその対象とはされていなかったこと、また17条決定は裁判所による最終的な調停案の提示であり、異議申立をしなという消極的合意を停止条件として裁判上の和解と同一の効力生じる制度、すなわち和解と同様、当事者の合意に基礎を置いた紛争解決のための制度であるとして、錯誤の適用があるとして、清算条項付きの17条決定が存在しても、過払金の請求を認めた判決。オリコは上告・上告受理申立をせず確定した。
業者名:
オリエントコーポレーション

平成24年4月25日 東京地方裁判所民事第43部 判決

要旨・解説:
17条決定は当事者の意思を要素とする訴訟行為ではないので、原則として錯誤により無効となる余地はない、しかし、本件のような経緯で異議なく確定した17条決定は、裁判の形式をとってはいるものの、その実質は当事者間の合意による調停成立と異なるところはないというべきであるから、その合意の過程において、合意を予定する内容に異議はない旨の調停委員会に対する当事者の意思表示に要素の錯誤があると認められる場合には、民法95条を類推適用し、確定した17条決定の無効確認を求めることができると判示した。
業者名:
CFJ

平成23年5月20日 山形簡易裁判所

要旨・解説:
17条決定の内容と、その後の引き直し計算との内容が単に一致しないからといって、直ちに17条決定が錯誤無効になる訳ではないが、両者の内容が大きく乖離しており、かつ借主が乖離の事実を認識していなかった点につきやむを得ない事情がある場合には、17条決定につき錯誤無効が認められると判示した上で、本件では、17条決定当時、原告は大きく乖離していることを認識しておらず、かつ被告から開示された取引履歴が虚偽のものであると推認されることを理由に、17条決定の錯誤無効を認めた。
業者名:
三愛信販

平成23年5月16日 長野簡易裁判所

要旨・解説:
17条決定についても、動機が表示されている場合には錯誤無効にあたるとした上で、本件原告は、17条決定当時、具体的な過払額の発生の事実を認識しておらず、かつ調停の席上において認識しなかったことについてもやむを得ない事情があると認めるのが相当であるから、原告には法律行為の要素に錯誤があり、かつ、動機は表示されているとして、17条決定の錯誤無効を認めた。
業者名:
シンキ

平成22年3月1日 相馬簡易裁判所

要旨・解説:
特定調停手続において、プロミスが調停委員会の求めに応じて引直計算書を提出していれば、借主は多額の過払金が発生していることを認識しえたはずであり、そうであれば17条決定の発令に同意しなかったであろうし、仮に17条決定が発令されてもそれを確定させることはなかった。それらの事情を総合すれば、本件17条決は、その成立過程ないしは確定の過程に関し、要素に錯誤があるから全部無効であると判示した。
業者名:
プロミス

平成21年11月27日 長野地方裁判所松本支判

要旨・解説:
17条決定に至る過程で、合意を予定する内容について異存がない旨の当事者の調停委員会に対する表示の要素に錯誤がある場合には、再審によらずとも、民法95条の類推適用により確定した17条決定は無効となるとした上で、本件では、原告は調停員会に提出された取引履歴(平成11年12月29日以降の取引履歴)を前提として決められた債務額等に異存がないことを調停委員会に対して表示したが、実際には提出された取引履歴以前に取引が存在し、これを含めて計算した場合には過払金が生じていたと認められることを理由に、原告の上記表示には要素の錯誤があると認められる。
業者名:
CFJ

平成21年09月10日 高松高等裁判所判決

要旨・解説:
遅くとも平成7年8月から取引があるのに、特定調停において開示された平成12年以降の取引履歴を前提としてなされた17条決定に対し、借主側が異議を述べなかったため同決定が確定したが、その後、同決定の錯誤無効が争われた事案。判決は、17条決定は当事者双方の意向を踏まえて同意可能な決定がなされるのが実情であること及び決定に服するか否かを当事者の意思に委ねていることから、私法上の契約と同様に要素の錯誤による無効を主張できるとした上で、本件では、開示された取引履歴が客観的事実と異なり、借主が残債務を正確に把握しておらず、17条決定に異議を申し立てるかどうか判断する前提が欠けていたから残債務額に錯誤があったとして、17条決定が無効であったことを認めた。
業者名:
嵯峨野
原審判決:
松山地裁平成21年2月12日

平成21年02月12日 松山地方裁判所判決

要旨・解説:
17条決定は、形式上は決定であるが、実態は当事者の私法上の契約と同視できるから、錯誤など私法上の契約無効原因があれば、決定の無効を主張できるとした上で、本件原告は過払いにより債務が消滅していることを知らないまま、17条決定に対して異議を申し立てなかったと認定し、要素の錯誤があるとして錯誤無効を認めた。なお、被告は、原告に錯誤に陥った点について重過失があると主張したが、原告は調停申立時、8社から借入をしていた多重債務者であったから、当初からの取引履歴を見せられない限り、正確な借入状況を認識できていなかったものと考えられるから、原告の過失を論じる前提を欠くとして、被告の主張を斥けた。 ・・・
業者名:
嵯峨野
控訴審判決:
高松高判平成21年9月10日