マルフク・タイヘイ・CFJ
平成23年10月14日 さいたま地方裁判所 判決
- 要旨・解説:
- 信義則上、マルフクで発生した過払金をCFJが承継することを認めた判決。原告は、ディックの説明や対応により、マルフクとの契約関係がそのままディックが引き継いだと信じて、7年以上借入れと返済を繰り返したこと、CFJは、マルフクの契約を事実上引き継ぎ、これを利用してマルフクの顧客に対してさらに貸付けを行って利益の拡大する目的で資産譲渡契約を締結したこと、マルフクに取引履歴破棄の義務を負わして、マルフクに対する過払金請求を事実上断念させたこと等から、過払金債務をマルフクから承継していないと主張することは信義則上、許されないとした。
- 業者名:
- マルフク、CFJ
平成23年1月19日 東京高等裁判所 判決
- 要旨・解説:
- マルフク→ディック(現CFJ)への過払金の承継を否定することは、信義則に違反し許されないとした判決。判決は「資産譲渡契約中の過払金返還債務不承継条項を被控訴人が借主(控訴人)に対して主張することは、被控訴人がその圧倒的な経済力と情報量をもって、自己に有利な内容の資産譲渡契約の文言(過払金返還債務不承継条項)を資産譲渡契約の当事者ではない零細な借主に押しつける一方で、貸金業法違反の取引履歴廃棄義務条項により控訴人ら零細な借主を過払金返還請求権の行使が困難になるという著しく不利益な状態に追いやるものであって、資産譲渡契約の反射的効果として新たに契約当事者となった被控訴人と控訴人間の信義誠実の原則に反し、権利の濫用であって、許されない」とした。
- 業者名:
- マルフク、CFJ
- 上告審判決:
- 最高裁第二小法廷平成24年1月20日判決
平成22年07月01日 名古屋高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- マルフク→ディック(CFJ)への契約上の地位の移転があったことを認定して、過払金も承継し一連計算を認めた判決。資産譲渡契約は、有機的一体としての物的・人的営業資産を引き継がせることを目的とする営業譲渡契約と解するのが相当であり、契約上の地位も移転している。過払金充当合意を含む基本契約が締結されている場合、貸金債権と過払金返還債務は表裏一体で密接に関連しているので、借主が過払金債務のみを区別して承継の対象から除外するときの利害得失を理解し、承知の上で契約上の地位の移転を承諾したなどの特段の事情がないかぎり、過払金返還債務を含めてCFJが承継するとした。
- 業者名:
- マルフク、CFJ
- 原審判決:
- 岐阜地裁平成22年2月25日判決
- 上告審判決:
- 最高裁第二小法廷平成23年7月7日判決
平成22年04月15日 名古屋高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- マルフク→ディック(CFJ)の契約上の地位の移転あったことを認定して、一連計算を認めた判決。資産譲渡契約によって、CFJは、マルフクから顧客との取引データ、不動産賃貸借、動産等の営業資産を包括的に承継し、雇用関係も承継した。有機的一体としての物的・人的営業資産を引き継がせることを目的とする営業譲渡契約を締結したものと解するのが相当であり、契約上の地位も移転している。基本契約が締結され、過払金充当合意の存在が認められる場合、貸金債権と過払金返還債務は表裏一体で密接に関連し、かつ同時に存在し得ないものであり、切り離して別々に処分することは原則としてできない。資産譲渡において過払金返還債務を承継の対象から除外することは理論上は不可能でないが、過払金債務額の減少という不利益を甘受してもなお貸主と取引を継続する旨の借主の承諾がなければならない、と判示した。
- 業者名:
- マルフク、CFJ
- 原審判決:
- 名古屋地裁一宮支部平成21年9月29日判決
- 上告審判決:
- 最高裁第二小法廷平成23年7月8日判決
平成22年03月25日 名古屋高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- タイヘイの過払金返還債務につき、CFJが重畳的債務引受をしたとして一連計算を認めた判決。資産譲渡契約第9、6条(b)は、過払金返還請求について、CFJが自ら費用を負担し、防御、解決、又は履行する規定であること、同条(a)によればタイヘイも過払金返還債務を免れるものではないことから、CFJは、タイヘイの過払金返還債務を重畳的に引き受けたと判断して、タイヘイ→CFJの一連計算を認めた。
- 業者名:
- タイヘイ、CFJ
- 原審判決:
- 名古屋地裁平成21年10月22日判決
- 上告審裁判決:
- 最高裁第三小法廷平成23年3月22日判決