文書提出命令・真実擬制
平成25年10月28日 和歌山地方裁判所 決定
- 要旨・解説:
- 旧ユニマットライフ取引の交渉経過記録につき、専ら貸金業者の内部において利用することを目的として作成したものであるが、開示によって所持者である抗告人に看過しがたい不利益が生じるおそれがあるとまで言えないとして、取引の一連性を立証するために取引履歴の開示を命じた即時抗告審決定。
- 業者名:
- CFJ
- 原審決定:
- 妙寺簡裁平成25年6月4日決定
平成24年12月12日 大阪地方裁判所 判決(控訴審)
- 要旨・解説:
- 武富士から富士クレジットに債権譲渡された事案につき、裁判所が債権譲渡契約書の提出を命じたが、富士クレジットが、これに従わなかったため、真実擬制により、譲渡前の武富士との取引で発生した過払金を富士クレジットが承継する合意があったことを認定し、富士クレジットに過払金の支払いを命じた判決(控訴審)。
- 業者名:
- 富士クレジット、武富士
平成24年11月15日 大阪高等裁判所 第13民事部 決定
- 要旨・解説:
- ユニマットライフは、平成4年8月以前は、紙文書で取引履歴を管理しており、現在は廃棄して存在しないというCFJの主張を斥け、取引履歴が顧客の信用情報に関する重要な資料であり、保存期間が経過すると自動的に破棄されることは考えがたい上、破棄の事実の証明は従業員の陳述書のみで合理的な説明もないことを理由に、CFJに対して昭和62年9月から平成4年8月までの取引履歴の開示を命じた決定。
- 業者名:
- CFJ
- 原審決定:
- 奈良地裁葛城支部平成24年9月27日判決
平成24年10月24日 東京高等裁判所 第20民事部 決定
- 要旨・解説:
- エイワとの取引内容を明らかにするために、弁済金の振込先銀行の支店に対する文書提出命令を申し立てたところ、原審は10年を超える預金記録を廃棄したという銀行の主張を認めて、文書提出命令申立を却下したが、抗告審において、銀行から平成8年からの記録が見つかったという意見書が提出されたことから、その期間について原決定を取消し、原審に差し戻した抗告審決定
- 業者名:
- エイワ
- 原審決定:
- 横浜地裁平成24年7月30日決定
- 差戻審決定:
- 横浜地裁平成25年1月15日決定
平成24年3月30日 東京地方裁判所立川支部決定
- 要旨・解説:
- クオークローンで発生した過払金をプロミスが承継することを認めた最判平23.9.30以降も、プロミスは、同様事案について、訴訟外で和解せず、提訴後も控訴審判決が下るまで支払いをしない。借主側は、過払金の承継を立証するためにプロミス・クオークローン間で締結された業務提携契約書の提出を裁判所から求められる。しかし、業務提携契約書の文書提出命令を申し立てて、決定が出れば、真実擬制により裁判所が承継を認めることは可能である。決定の内容はシンプルなものである。
- 業者名:
- プロミス・クオークローン・タンポート・クラヴィス
平成24年3月22日 東京高等裁判所 第14民事部 決定
- 要旨・解説:
- エイワが開示した取引履歴以前の部分から取引が存在したことを認定し、取引履歴は契約の終了後10年間は保管されていることが推認され、その後の廃棄、滅失については、所持者である貸金業者ににおいて真摯な調査を行ったうで、その廃棄、滅失の経緯について合理的な説明を尽くすことが必要であるが、エイワは廃棄して保存していないと主張するだけなので、どかに保管しているものとして取引履歴の提出を命じた決定。
- 業者名:
- エイワ
平成23年12月27日 名古屋地方裁判所一宮支部決定
- 要旨・解説:
- アエルとJPモルガンの債権譲渡、信託の内容が明らかにならなければ、事実関係が確定できないとして、NCキャピタルに対して、JPモルガン信託銀行の信託譲渡契約書の提出を命じた文書提出命令。
- 業者名:
- JPモルガン信託銀行(現ニューヨークメロン信託銀行)、NCキャピタル
平成23年12月21日 郡山簡易裁判所決定
- 要旨・解説:
- 平成6年12月以前の取引履歴は存在しないというニコスの主張に対して、ニコスの社内において文書等の廃棄に関する規定が存在することは認められるが、その規定とおりに文書を確実に廃棄している具体的な証拠を提出しないので、取引履歴を所持しているものと認めることができるとして、昭和61年12月から平成7年1月までの取引履歴を記載した文書の提出を命じた決定。
- 業者名:
- UFJニコス
平成23年7月26日 札幌高等裁判所決定
- 要旨・解説:
- 平成7年1月以前の取引履歴のデータ(COM)を廃棄したというニコスの主張を斥け、昭和53年8月から平成7年1月までの取引履歴を記載した文書の提出を命じた決定。
- 業者名:
- UFJニコス
平成23年3月15日 名古屋地方裁判所一宮支部決定
- 要旨・解説:
- アエルとJPモルガンの債権譲渡、信託の内容が明らかにならなければ、事実関係が確定できないとして、NCキャピタルに対して、JPモルガン信託銀行の信託譲渡契約書の提出を命じた文書提出命令。
- 業者名:
- JPモルガン信託銀行(現ニューヨークメロン信託銀行)、NCキャピタル
平成22年12月15日東京高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- 平成5年9月以前の取引履歴廃棄の新生フィナンシャルの主張を認めながらも、廃棄は「過払金の返還を免れるという確固たる目的が併存していたものと推認できる」として、立証妨害の目的を認定し、借主の推定計算を真実と擬制した判決(民訴法224条2、3項)。平成5年9月以前の取引部分については、新生フィナンシャルが借主作成の推定計算を受け容れない場合、文書提出命令→真実擬制の手続が必要であり、煩瑣であった。本東京高判が、新生フィナンシャルの立証妨害の目的を認定したことで、借主側としては、文書提出命令の申立を経ることなく、合理的な根拠に基づく推定計算であることを立証すれば足りることになることが期待される。業者側の情実論に対して判決は「なお、被控訴人は、このような真実擬制が認められるとすれば、顧客の主張するがままの取引経緯が裁判上認容されることになり、被控訴人の経営が成り立たなくなる旨主張するが、本件では、控訴人の主張する取引内容が相応の合理性を有することを踏まえて真実擬制を認めているのであって、被控訴人の主張は当をえていない。」と述べる。なお第1審段階で、文書提出命令は却下された。
- 業者名:
- 新生フィナンシャル(旧GEコンシューマーファイナンス)
- 原審判決:
- 静岡地裁浜松支判平成22年7月30日
平成21年3月27日 名古屋高等裁判所判決 民事第1部
- 要旨・解説:
- 契約書、申込書等の文書提出命令申立に対して、文書の不特定を理由として却下した原決定を、相応の社内体制を有する貸金業者である相手方にとって契約番号で特定された取引は容易に取引開始時期及び契約書の作成時期を特定できるから特定に欠けることはないとして破棄した事例。
- 業者名:
- 三菱UFJニコス
- 原審決定:
- 名古屋地判平成20年11月26日
- 原々審決定:
- 名古屋簡判平成20年8月26日
平成21年3月19日 名古屋地方裁判所決定
- 要旨・解説:
- 取引履歴等について、廃棄したため提出すべき文書が存在しないから提出命令は不適法却下されるべきであるとの相手方の主張を、取引履歴の重要性、提訴前の相手方の取引履歴開示状況、証拠開示についての不誠実さ等を理由に文書の存在を認定して排斥し、文書の提出を命令した事例。
- 業者名:
- 丸井グループ
平成21年3月10日 名古屋地方裁判所一宮支部決定
- 要旨・解説:
- 貸金業者が取引履歴に応じないので、貸金業者の銀行口座の文書提出命令を申立て、申立が認められた事案。貸金業者は、愛知県一宮市内の個人の貸金業者、銀行は、三菱東京UFJ銀行一宮支店。文書提出命令の結果、平成元年からの預金口座の取引履歴が開示された。
- 業者名:
- 三菱東京UFJ銀行
平成21年3月5日 名古屋高等裁判所決定
- 要旨・解説:
- 被抗告人の10年を超える取引履歴データの一律廃棄の主張を容れて文書提出命令を却下した原審の決定を、履歴の保存・管理の必要性が高く一律廃棄につき合理性がないこと、データの保管が負担でなかったこと、文書管理に関する社内規定等の存在が疑わしいこと等を理由として破棄し、提出命令をした事例
- 業者名:
- オリエントコーポレーション
- 原審判決:
- 平成20年7月9日名古屋地裁一宮支決
平成20年5月28日 名古屋高等裁判所決定
- 要旨・解説:
- 抗告人が、原審の文書提出命令が、被抗告人が負担すべき取引履歴の存在の立証責任を抗告人に負わせており違法であると主張したのに対し、抗告人の取引履歴データを廃棄したとの主張に合理性・信用性がないため、その存在が推認されるとして抗告を棄却した事例。
- 業者名:
- 三菱UFJニコス
- 原審決定:
- 名古屋地裁平成19年7月18日決定