平成18年1月13日以降のみなし弁済
平成24年9月28日 最高裁判所第二小法廷 口頭弁論調書(認諾)
- 要旨・解説:
- 最判平18.1.13以降、シティズは、期限の利益喪失条項を「各返済金の元金若しくは利息制限法所定の制限利息の支払を遅滞したときは、催告の手続を要せずして債務者は期限の利益を失い直ちに元利金を一括して支払う」と変更した。原々審宮崎地判平22.7.7は、上記条項の説明を受けた借主が「約定利息を支払わなければ期限の利益を喪失するとの誤解を生じさせていたと認めることはできない」「事実上の強制を受けて制限超過部分を支払ったということはできず、弁済に任意性を認めることができる」として、シティズのみなし弁済の主張を認めた。原審福岡高裁宮崎支判平22.11.29も、「借主が元本と併せて利息制限法に従った制限利息のみの支払を特に躊躇させるようなものとはいえない」として、借主の控訴を棄却した。
借主は、最高裁に上告受理申立をし、最決平24.7.25付けで最高裁は上告を受理し、平成24年9月28日に弁論期日を指定した。
この最高裁の上告受理決定、口頭弁論期日の指定を受けて、シティズは、第1回口等弁論期日に借主の請求をすべて認諾した。
- 業者名:
- シティズ
- 上告受理決定:
- 最二小決平成24年7月25日
- 上告受理申立理由書:
- 上告受理申立理由書(目次のみ)
- 原審判決:
- 福岡高裁宮崎支判平成22年11月29日
- 原々審判決:
- 宮崎地判平22年7月7日
平成24年4月19日 和歌山簡易裁判所 判決
- 要旨・解説:
- 弁済の任意性について、「金銭消費貸借契約書や貸付契約説明書の文言、契約締結及び督促の際の貸金業者の債務者に対する説明内容などの具体的事情に基づき、総合的に判断されるべきである」(最判平18.1.19)として、詳細に事実認定し、契約書の内容を「総合的に」検討してみれば、通常の債務者において、償還表通りの約定利息を支払わない限り、期限の利益を喪失して、一括弁済の不利益を被るとの誤解をあたえるとして、弁済の任意性を否定し、シティズのみなし弁済の主張を斥けた判決
- 業者名:
- シティズ
平成24年3月22日 大阪高等裁判所判決(上告審)
- 要旨・解説:
- シティズの交付した償還表、お知らせ書面の記載内容から、契約証書等の期限の利益喪失特約に十分に着目することなく、その意味を正しく認識・理解しないで、支払日までに分割元金及び約定利息額を入金しなければ期限の利益を喪失し、直ちに元金一括弁済をしなければならないと誤解して、事実上の強制をうけて制限超過利息の弁済をしていたと判示し、弁済の任意性を否定した判決。
- 業者名:
- シティズ
平成24年2月9日 新潟地方裁判所判決(控訴審)
- 要旨・解説:
- 4個の各貸付契約は実質的には借換えといえ1個の連続した貸付取引であり、各金銭消費貸借契約は過払金充当合意を含んでおり一連のものとして計算すること、期限の利益喪失特約の変更後の17条、18条書面は、従前取引の過払金を反映させていないものであることから、法の要求する書面が交付されたとはいえずみなし弁済の成立を認めることはできないこと、期限の利益喪失による遅延損害金の請求は信義則に反し許されないとした判決。
- 業者名:
- シティズ
平成23年12月16日 札幌高等裁判所 判決(上告審)
- 要旨・解説:
- 変更後の期限の利益喪失特約も、本件弁済充当特約および約定利息で計算した償還表の記載と総合的に判断すると、法律の専門家でない債務者が、通常誤解することなく、支払期日に約定の元本額と利息制限法の制限額内の利息の合計額を支払いさえすれば、不利益を受けることはないと解釈できるものではなく、その不利益を回避するために制限超過利息を支払うことを債務者に事実上強制しているといえるのでみなし弁済が成立することはないとした上告審判決。
- 業者名:
- シティズ
平成23年12月1日 大阪高等裁判所 第12民事部判決
- 要旨・解説:
- 従前の借入れにつき約定残債務を完済した上で、完済と同時に新たな契約に移行することが予定されていた各取引は、1個の連続した金銭消費貸借取引というべきであり、過払金充当合意を含むので一連計算すべきこと、期限の利益喪失特約の変更もどう変わったのかについて、何らかの説明を受けた事実もなく、償還表に具体的に記載された約定利息額を支払わないと期限の利益を失うとの誤解を生じさせかねないものであり、限超過部分を支払うことを事実上強制されていたというべきであり、制限超過部分を自由な意思で支払ったものと解することはできないとして、みなし弁済の成立を否定した判決。
- 業者名:
- シティズ