17条書面改訂後の悪意
平成24年7月10日 千葉地方裁判所 判決(控訴審)
- 要旨・解説:
- 平成16年に17条書面改訂した後、過払金が発生した事案につき、「返済の方式」(17条1項5号)の記載が不十分であること、取引全体に付きみなし弁済は成立せず、返済期間、返済回数、各回の返済金額は、誤ったものとなっているとして、CFJを悪意の受益者と認定した控訴審判決。
- 業者名:
- CFJ
平成24年5月16日 東京地方裁判所 判決
- 要旨・解説:
- 17条書面を改訂して「返済期間」等を記載するようになっても、みなし弁済の適用を前提とした充当計算を引き継いで返済期間を記載しており、本来の充当計算に従って算出される返済期間との間にはかなりの違いがあり、借主にとって返済計画を立てるのに役立つものではなく、平成14年10月の17条書面改訂時に過払いの状態になっていなかった取引についてもプロミスはなお悪意の受益者であるとした東京地裁判決。
- 業者名:
- プロミス
平成24年4月20日 東京地方裁判所 判決
- 要旨・解説:
- 17条書面を改訂し、「返済期間・返済回数」を記載するようになったのちも、残高スライド方式で最低返済額が変動するときには、次回返済額に応じた返済回数と最終返済日の記載では、確定的記載に準ずる記載にならないとして、平成10年7月以降もアコムはなお悪意の受益者であるとした東京地裁判決。
- 業者名:
- アコム
平成24年3月22日 東京地方裁判所 判決
- 要旨・解説:
- 17条書面を改訂し、平成16年10月以降、「返済期間・返済回数」を記載するようになったのちも、残高が10万円余であるにもかかわらず、実際に交付された17条書面には貸付残高として40万円余という全く異なる記載がされていたと認められ、貸金業法の趣旨を満たすものではなく、CFJはなお悪意の受益者であるとした東京地裁判決。
- 業者名:
- CFJ
平成24年2月2日 大阪高等裁判所 判決
- 要旨・解説:
- 17条書面を改訂して「返済期間・返済回数」に準じた記載をするようになっても、真実と大きく乖離した残金額を前提とした記載では、「返済期間・返済回数」の記載を求めた趣旨・目的を達することはできず、平成10年7月以降もアコムはなお悪意の受益者である(乖離理論)。
- 業者名:
- アコム
平成23年3月24日 東京高等裁判所 第2民事部判決
- 要旨・解説:
- 17条書面を改訂して「返済期間・返済回数」に準じた記載をするようになっても、18条書面の貸付残高後の金額の記載は誤っており、なお悪意の受益者である(親亀子亀理論)。
- 業者名:
- アコム
平成23年2月18日 高知地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- アコムの個別貸付書面には、貸付金残高、次回返済額及び次回支払期限の記載があるのみであり、返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載があると解することはできないから、貸金業法43条1項の適用要件を充足する17条書面を交付しておらず、アコムは悪意の受益者である。また、17条書面改訂後も、改訂前の取引についてみなし弁済の適用があることを前提とした誤った金額を記載していたのであるから、結局、17条書面改訂後も適法な17条書面を交付していたといえない、として悪意の受益者であるとした(親亀子亀理論)。
- 業者名:
- アコム
平成23年1月31日 さいたま地方裁判所川越支部判決
- 要旨・解説:
- 17条書面を改訂して「返済期間・返済回数」の記載がされるようになった後も、改訂以前の取引について、みなし弁済が成立していたことを前提に計算された額が交付書面に記載されたものであって、真実の充当関係を記載したものでないので、みなし弁済の適用のある17条、18条書面を交付していたものと認められず、悪意の受益者である(親亀子亀理論)。
- 業者名:
- アイフル
平成22年12月24日 神戸地方裁判所尼崎支部判決
- 要旨・解説:
- 被告が17条書面として交付していた書面について、少なくとも平成14年8月以前は「返済期間及び返済回数」と「返済金額」の記載がなく17条書面にあたらないことを指摘し、17条書面にこれらの事項が不要との見解や判例が多数であったという事情は認められないとして、特段の事情を否定した。書面改訂時には、借入金はほぼ消滅し、過払金が生じていたのであって、それ以降について17条、18条書面を交付していたとしても、法律上認められる債権額との乖離は著しいものであって、到底みなし弁済に必要な書面としての効力を認めることはできないとして、17条書面改訂後も悪意の受益者であるとした(乖離論)。
- 業者名:
- アイフル
平成22年12月24日 福岡高等裁判所宮崎支部判決
- 要旨・解説:
- 17条書面改訂後の18条書面に記載された今回残高や利息の金額は、いずれもそれまでの一連の取引にみなし弁済の適用があることを前提にした結果の金額が記載されたものであり、真実の充当関係を記載したものといえず、みなし弁済の適用のある18条書面が交付はなく、三洋信販は悪意の受益者である(親亀子亀理論)。
- 業者名:
- 三洋信販承継人プロミス
平成22年12月10日 佐賀地方裁判所唐津支部判決
- 要旨・解説:
- 17条書面改訂後の各書面は、いずれも、それまでの取引についてみなし弁済が成立していたことを前提に計算された額が記載されたものであって、真実の充当関係を記載したものではないから、みなし弁済の適用のある17条、18条書面の交付があったとは認められず、なお、アイフルは悪意の受益者である(親亀子亀理論)。
- 業者名:
- アイフル
平成22年11月22日 東京地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- みなし弁済の適用のない取引期間が相当長期に及び、その約定利率による借入残高と制限利率による引き直し後の借入残高の差額も相当に多額なものとなっている以上、その記載の不正確さからして、もはや18条書面としての記載要件を具備したものでなく、悪意である(乖離論)。
- 業者名:
- プロミス